どうも、医学生シン(@BodymakeShin)です!
今回は、少し前に見た映画を解説します!
今回ご紹介するのは、小説が原作の映画『正体』です!
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※この記事は、小説・映画『正体』のネタバレを含みます!
小説と映画では、細かいところで様々な違いがあります。
例えば、小説ではスキー場を舞台にした章がありましたが、映画では尺の都合なのか削除されています。
また、小説では鏑木慶一が洗濯機に入るシーンがありますが、映画では風呂場の換気扇に変えられています。長身イケメン俳優が洗濯機に入るのが物理的に無理だったのか、事務所からNGが出てしまったのか。いずれにせよ、映像化の過程で変わっています。
このように、小説と映画では細かい変更点があります。
この記事では、映画と小説を比較し、『正体』という作品について解説します!
違い①:又貫刑事のキャラ性
各章で鏑木慶一を追い詰める刑事・又貫のキャラ性は、小説と映画で大きく異なります。
小説では、又貫のスタンスは一貫して『鏑木慶一は死刑囚』です。
鏑木が逃亡したことで自分と警察の高官である父親の地位を脅かしたとして、もはや憎しみすら向けています。
又貫刑事の鬼気迫る様子は、小説の各所で描かれています。小説で又貫は、無実の鏑木慶一を追い詰めて絞首台に送ろうとする悪役です。
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万人には伝わらないだろう例えですが、小説の又貫刑事は漫画・ワンピースのロブ・ルッチに似ています
しかし一方で映画では、『真実』に気がついてからの又貫の態度が小説とは大きく異なります。
もしかしたら鏑木慶一は無実かもしれない。そう気がついてから、又貫刑事は警察全体の総意から少しずつ離れていきます。
極め付けは、終盤の『記者会見』です。あのシーンによって鏑木慶一の再審は、1人の警察官の告発と逃亡の過程で得た仲間の尽力によるものとなりました。
この点は、小説とは大きく異なる点です。映画では、又貫刑事の組織人としての政治的判断と、警察官としての正義感の葛藤が強調して描かれています。
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またワンピースで例えると、映画版の又貫は藤虎です
違い②:鏑木慶一のキャラ性
小説と映画では、鏑木慶一の精神年齢が異なります。
小説では鏑木慶一の性格は、ややドライで落ち着きがあり、しかし困っている人を放っておけない優しさも持ち合わせているという風に描かれています。
小説の鏑木慶一は、施設育ちの優等生です。おそらく、保護対象の子供たちと目上の大人たちで人間関係が完結していたのでしょう。
やや距離間のある関係、例えば仕事仲間では頼りがいがあり、一目置かれます。社会性も高く、空気を操ることもできます。
しかし映画では、純粋な正義を掲げ、小狡い駆け引きに疎いように描かれています。また、コミュ障気味な様子も見られます。
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こういった差がよく現れているのが、建設現場で現場監督から現金を引き出すシーンです
小説での鏑木慶一はクレバーな駆け引きで、目標額の10万円をきっちりゲットしています。
しかし映画では、会社の非を指摘するだけで、駆け引きらしきことはしていません。結局、一発鼻を殴られ、2万円しか引き出すことができませんでした。
鏑木慶一のキャラ性に小説と映画でこういった差があるのは、おそらく『最期』が変わったからでしょう。
小説での鏑木慶一は、手段を選ばず自分の無実を証明しようとして儚く散った悲劇の主人公です。しかし映画では、生きて無実を勝ち取り、これからの未来があります。
これから未来があるというエンディングを意識して、映画版の鏑木慶一は少年っぽさを強調して描かれたのでしょう
映画は小説のアナザーストーリー
私は、この映画を小説のアナザーストーリーだと解釈しました。
又貫刑事が真実に気づいたところがターニングポイントで、そこから『鏑木慶一生存ルート』に入ったのだと思っています。
小説の後書きで、作者が読者から鏑木慶一を死なせないでほしかったという意見を沢山もらったと言及しています。
それが関係しているのかは分かりませんが、もしかしたら作者の染井為人氏もハッピーエンドを描きたかったのかもしれません。
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