【書評】プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法 石井琢磨

ビジネス・自己啓発

 どうも、医学生シン(@BodymakeShin)です! 

 この記事では、最近読んだ『プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法』という本をご紹介します。

 この本は心理戦のプロである弁護士先生が、様々な状況で相手から『納得』と『合意』を引き出すための方法を紹介しています。

シン
シン

ただ論破したり言い負かしたりする方法ではなく、相手と長期的に良好な関係を築くための方法が紹介されていて、非常に実用的でためになる内容でした

 Kindleで読めるので、ぜひ一度手に取って読んでみてください!

どんな人が書いたのか?

 この本を書いた石井琢磨氏は弁護士です(公式HP)。

 石井氏は主に消費者問題や借金・交通事故を中心に取り扱い、社会的弱者に味方することを信条としているそうです。

 素人の考えですが、民事事件の裁判というと、刑事事件の裁判と違ってどちらかが一方的に悪いというわけではないため、弁護士の力量が重要だというイメージを持ってしまいます。

 実際、石井氏は長年の弁護士生活で、法廷の外と内で幾度となく心理戦に遭遇し、時に失敗しながら心理戦を制する方法を身につけていきます。

 端的に言えば、石井氏は心理戦のプロです。

 この本には、著者がペンで戦う中で身につけた心理戦のノウハウが詰まっています。

シン
シン

この本の中で紹介されているエピソードは、大半が著者の体験談です

 それっぽく聞こえる机上の空論ではなく、血の通った金言を知ることができます。

こんな人におすすめ!

 この本は、言わずもがな心理戦を制するためのノウハウが書かれた本です。

 しかし、この本が目指すゴールは『相手を言い負かして自分の正しさを証明し、自分の言い分だけを通す』というものではありません。

 むしろその逆で、『相手から納得を引き出して、自分の思う通りに動かす』ことを最終目標にしています。

 著者である石井氏はこの本の中で、心理戦を次のように定義しています。

人の行動に影響を与えるために、なんらかの誘導を伴う一連のやりとり

プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法 石井琢磨 すばる舎 2013/7/31  3ページより引用

 要するに心理戦のノウハウとは、他人に行動するきっかけを与えるためのノウハウということです。

 有名な各国の国民性を表したジョーク、船が沈没したときに乗員に海に飛び込ませたいのなら、アメリカ人には『ここで飛び込めばあなたはヒーローですよ』と言い、日本人には『みんな飛び込んでいますよ』と言い、イタリア人には・・・というのも一種の心理戦です。

 『海に飛び込む』という行動を引き出すために、アメリカ人の英雄願望や日本人の同調圧力に働きかけています。

シン
シン

心理戦をこのように定義するのなら、心理戦が起きるのは法廷だけではありませんよね

 仕事や家庭、友人関係や恋愛、あらゆる人間関係は心理戦の連続です。

 人付き合いで何か悩みがあるのなら、この本を手に取ってみるのをおススメします。

内容をちょこっと紹介!

 次に、この本の内容を解説します。

 この本は5章35節構成になっています。

シン
シン

タイトルにある『人を動かす35の方法』を1節ずつ解説しています

 第1章では、無関係ないし敵対関係にある相手と打ち解けて、連帯関係を築く方法が6個紹介されています。

 まず友好的な関係にならないと、行動を誘導することはできませんからね。

 今回ご紹介するのは、第1章で最も印象深かった2節についてです。

メリットを意識して話を聞く

 第1章5節には、聞き下手が人の話をちゃんと聞くための心構えと、効果的な質問方法が解説されています。

 コミュニケーションにおいて、相手の話をよく聞くというのは基本中の基本ですが、常に行い続けるのは難しいですよね。

シン
シン

人はだれしも自分の話を優先してしまうものです

 相手の話が終わるのを待つ。ただ黙って聞く。

 言うは易し、行うは難し、ですよね。

 そこで、著者の石井氏はユニークで有効な解決策を紹介しています。

話を聞いている間、一分経ったら、一好かれるポイント、一回会ったら一〇〇好かれるポイントのように、「ポイントが貯まっていく」情景をイメージしましょう

プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法 石井琢磨 すばる舎 2013/7/31 47ページより引用

 話を聞くということを、ゲームにしてしまうのです。

 例えば、意中の異性と雑談しているのなら、

  • よし、出身校の話を聞き出せた!1点もらいっ!
  • 過去の恋愛の話が来た!深掘りすれば100点はかたい!

 こんな意識でいれば、自分の話をしたいという欲求を抑えられますよね。

 しかし、ただ話を聞くだけではだめだと石井氏は語ります。

 質問の仕方、ヒアリングにも良い悪いがあります。答えを絞り込み過ぎた質問は、相手の話から重要な情報を削ぎ落してしまう恐れがあるのです。

シン
シン

この部分を読んで真っ先に思い出したのは、大学で習った問診のテクニックです

 仮に、苦しそうに胸をおさえた70代のおばあちゃんが『息が苦しい』と言って救急外来に来たとしましょう。

 悪い問診では、『お胸の痛みについて教えてください』『いつから痛みますか』と胸の症状に限定して話を聞いていきます。

 しかし、(教科書的に)正しい問診では『ご自身に起きていることをご自分の言葉で説明してください』と一旦患者さんに自由に話してもらいます。

 そうすれば、肩の痛みであったり、片足のむくみであったり、臨床的に重要な情報が手に入ります。

 悪い方の問診では、こういった情報は素通りされてしまいます。

 Yes or Noで答えられたり、答えが限定されてしまうような質問を最初にするのは良くないということです。

好かれた証拠をつくる

 第1章6節では、相手とのやり取りを記録に残しておくことの重要性に触れています。

 ヒトの感情や記憶、信頼関係がいかに儚く脆いものなのか、著書の石井氏は次のように述べています。

人の感情は簡単に変わります。好きだった人をある出来事でキライになる。信頼が一瞬で崩れるのです

プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法 石井琢磨 すばる舎 2013/7/31 55ページより引用

 事実は動きませんが、事実への解釈は変わります

 ほんの些細な出来事が原因で、これまでは『信頼されている』と思っていたのに、『都合よく利用されている』と感じてしまうことがあります。

 あるいは、ショッピングの際に店員に勧められて『素晴らしい買い物をした』と思ったら、家に帰る頃には『いらない買い物をさせられた』と感じることもあります。

 ヒトは、時間経過や新しい事実でこれまでの考えを一変させることがあります。

シン
シン

せっかく友好関係を結んで『ではまた来週』となっても、次に会うときにはふりだしに戻っていることもあり得ます

 だから、好かれた証拠、友好関係を結んだ物証を残しておくことが重要なのです。

 物証というと大げさに感じるかもしれませんが、例えばLINEのアルバム機能も見方によっては『仲良くなった証拠』の一つです。

 楽しげな写真を共有し、関係が深まったことを互いに確認し合うことで、『仲良くなった物証』を残しているのです。

この本から学べる事!

 いかがでしたか?

 たった2節分だけで、心理戦について濃いノウハウを学べたのではないでしょうか。

 しかし、これはまだ序の口です。

  • 話をこじらせずに相手の言い分に反論するにはどうすればよいか
  • 事実に対する相手の解釈をコントロールし、こちらの要求を通す方法
  • 一見敵意むき出しに見える相手の欲求や立場を探り、味方に引き込むコツ
シン
シン

こういった心理戦についての様々な事柄をまとめて学べます

 内容の濃さに反して、文章自体は軽快で読みやすく、私は数日で読めてしまいました。

 人付き合いを好転させたい人は、ぜひ手に取って読んでみてください!

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